役員報酬を決める3つのルール
1. ルール①:設立から「3ヶ月以内」に金額を決定する
役員報酬の金額は、いつでも自由に決めていいわけではありません。最初のタイムリミットは「会社設立の日から3ヶ月以内」(または最初の事業年度開始の日から3ヶ月以内)です。
◎ 手続きの厳格さ
株主総会や取締役会を開き、議事録を作成して正式に報酬額を決定する必要があります。この3ヶ月の猶予期間を過ぎてから決定した報酬は、税務上、会社の経費(損金)として落とすことができなくなります。
◎ 町田・相模原での実務
登記簿謄本が届き、横浜銀行やきらぼし銀行、多摩信用金庫やさがみ信用金庫などの地元金融機関で法人口座を開設するなどの初期手続きに追われていると、3ヶ月はあっという間に過ぎてしまいます。税務署(町田税務署や相模原税務署など)への各種設立届を提出するタイミングと並行して、いくらにするかを早期に確定させることが鉄則です。
2. ルール②:1年間は毎月同じ額を支給する(定期同額給与)
決定した役員報酬は、その事業年度を通じて「毎月必ず同じ金額」を支給しなければなりません。これを税法上、「定期同額給与」と呼びます。
「先出しジャンケン」の厳しさ: 例えば、役員報酬を月額50万円と決めたら、会社の売上が爆発して利益がどれだけ出ようが、逆に赤字で資金繰りが苦しくなろうが、その年度内は50万円を支払い続けなければなりません。利益が出たからといって期中で特定の月だけ80万円に増額した場合、増額した分の30万円は経費として認められず、会社に高い法人税が課されることになります。
例外のタイミング: 金額を変更できるのは、原則として「年に1回、新年度が始まってから3ヶ月以内」のタイミングのみです。そのため、創業期の売上予測をあらかじめ精緻に立てておく必要があります。(減額出来る特例もありますが要件があります)
3. ルール③:社会保険料の「強制加入」コストを計算に入れて設定する
3つ目のルールは、税法ではなく「社会保険法」に深く関わる実務上の最重要ルールです。
法人は、社長一人だけの会社であっても、役員報酬が発生している限り、すべて社会保険(健康保険・厚生年金)の「強制適用事業所」となります。町田年金事務所や相模原年金事務所への手続きは設立から5日以内が原則です。
「約30%」の労使折半コスト: 社会保険料は、大まかに言って役員報酬額の約30%がかかります。これを会社と個人で半分ずつ(約15%ずつ)負担します。一人社長にとってはどちらの財布も「事業で稼いだお金」ですから、設定した役員報酬の約3割の現金が毎月確実に口座から消えていくことになります。
税金と社会保険料のトータルシミュレーション: 「会社の法人税を減らしたいから」と役員報酬を不自然に高く設定しすぎると、会社の節税額よりも、個人の所得税・住民税、そしてこの社会保険料の負担増のほうが大きくなり、結果的に手元の現預金(キャッシュ)が激減する「本末転倒な大損」を招きます。法人税・所得税・社会保険料の3つが最も安くなる「スイートスポット」を計算した上で金額を決定しなければなりません。
役員報酬決定をさらに有利にする「裏ワザ」と公的支援の活用
ルールを踏まえた上で、創業期の負担をさらに減らすための財務戦略も知っておきましょう。
①「開業費」の任意償却スキームを活用する
起業前の準備期間に支払った町田・相模原での打ち合わせ代、パソコン購入費などの領収書は、すべて「開業費」として資産計上し、「将来の利益が出た年度に、好きなだけ一気に経費化できる(任意償却)」という最強の節税枠になります。これがあれば、1期目の役員報酬をあえて低めに設定して社会保険料を抑えつつ、会社の利益を開業費で相殺するという高度なキャッシュコントロールが可能になります。
②町田市・相模原市の「特定創業支援等事業」と連動する
両市が提供する国の認定を受けた創業セミナーや個別相談を活用し、自治体から「証明書」を取得しておきましょう。これによって、株式会社設立時の登録免許税が半額(15万円→7.5万円)になるだけでなく、日本政策金融公庫や地元の信用金庫の「制度融資」において、金利優遇や保証料補助などの大きな恩恵を受けることができます。ここで浮かせた資金や手元のキャッシュを厚くしておくことが、毎月の社会保険料や将来の納税に怯えないための強固な防壁となります。
まとめ:役員報酬を決める3つのルール
会社設立後に役員報酬を決める際の最重要ポイントは、「設立日から3ヶ月以内という厳格な期限内に株主総会等の手続きを経て報酬額を正式に決定すること」「一度決めた報酬は、事業年度の途中で会社の業績が上下しても必ず毎月同じ額を支給する『定期同額給与』のルールを遵守すること」「役員報酬の約30%におよぶ『社会保険料の強制加入コスト』をあらかじめ織り込み、法人税・所得税とのトータルバランスが最も有利になる金額を導き出すこと」「設立前の準備費用を『開業費』としてストックし、将来の利益と相殺して税金をコントロールする『任意償却』の権利を確保すること」、そして「登記前後に関わらず町田市・相模原市の『特定創業支援等事業』をフル活用し、設立時の減税や制度融資の金利優遇を引き出して創業期のキャッシュを最大化すること」の5点に集約されます。
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