法人化で得する人・損する人
1. 【得する人】個人所得が「800万円」を超え、累進課税に苦しんでいる人
法人化で最も分かりやすく得をするのは、売上から経費を差し引いた「個人所得(利益)が800万円」を超えている経営者です。ここには国が定めた税率の明確な構造差が存在します。
個人の所得税(累進課税): 利益が増えれば増えるほど税率が段階的に跳ね上がり、住民税と合わせると最高で約55%にも達します。
法人税(一定税率): 中小法人の場合、年800万円以下の利益に対する実効税率は約23%〜25%程度。それを超える部分でも約30%〜34%程度と、税率の上限が低く抑えられます。
この両者の税率が逆転するポイントが「所得800万円」です。所得が1000万円、1500万円と増えるにつれて、法人化による節税メリットは数百万円単位で膨れ上がります。このゾーンにいる人は、法人化で確実に「得する人」になれます。
2. 【損する人】「売上高」の額面だけで判断し、固定費に潰される人
一方で、法人化で大損してしまう典型的なパターンは、年商(売上)の数字だけで会社を設立してしまう人です。
「年商1,000万円を超えたから、なんとなく株式会社にしよう」 そう考えて中身を開けてみると、仕入れや外注費がかさんで手元の利益(所得)が300万円しかなかった、というケースは町田・相模原の創業現場でも少なくありません。
◎ 赤字でもかかる地方税の均等割
個人事業主なら赤字の年は所得税や住民税がかかりませんが、法人になると、どれだけ大赤字であっても会社が存在するだけで課される「法人住民税の均等割(毎年約7万円)」を、町田市や相模原市に必ず納めなければなりません。
◎ 税理士顧問料などの維持コスト
法人の決算申告は個人の確定申告に比べて圧倒的に複雑なため、税理士への顧問料というランニングコストが重くのしかかります。利益が少ない段階での法人化は、これらの「維持費」だけで大損する結果を招きます。
3. 【得する人】インボイス制度を逆手に取り、2年間の免税をフル活用する人
2026年現在、法人化のタイミングをさらに複雑にしているのが「インボイス制度(消費税)」です。しかし、自社のビジネスモデルを理解している賢い経営者は、ここで大きな得をしています。
BtoC(一般消費者相手のビジネス)の勝ちパターン: 町田駅前の飲食店や美容室、相模原の一般市民向けの出張サービスなど、顧客が一般の個人である場合、インボイス登録(課税事業者への変更)を求められることは原則ありません。
免税メリットの「おかわり」: 個人事業主として年商1,000万円を超えたタイミングで法人成りをすると、資本金1,000万円未満で設立した新会社は、「最大2年間の消費税免税メリット」(要件あり)を再び受けることができます。この期間に手元にキャッシュ(現預金)を温存し、次の店舗展開や広告費に投資できる人は、現代の税制をフルに味方につけた「得する人」です。
4. 【損する人】「社会保険料」という名の第2の税金を見落としている人
法人成りにおける最大の誤算であり、多くの経営者が後悔するポイントが社会保険(健康保険・厚生年金)の負担増です。ここに気付けない人は一瞬で「損する人」に転落します。
個人事業主のうちは、従業員が5人未満であれば国民健康保険と国民年金で済みますが、法人化すると「社長一人だけの会社」であっても社会保険への加入が法律で義務付けられます。
◎ 役員報酬の約30%が消える
社会保険料は会社と個人が折半して支払いますが、一人社長にとってはどちらも自分の事業資金から出ていくお金です。その総額は、自分に支払う役員報酬(給料)の約30%という非常に重いコストになります。
◎ トータルでのキャッシュアウト
「法人税は30万円安くなったが、新たに発生した社会保険料の負担が50万円だった」となっては本末転倒です。事前の精緻な社会保険料シミュレーションを怠る人は、手元の現金を大きく減らすことになります。個人と法人の徴収される社会保険料の予測計算がかなり重要となります。
5. 【得する人】町田・相模原の「特定創業支援」を登記前に使い倒す人
お金の管理に強く、法人化でしっかり得をする経営者は、自治体が提供している公的な優遇制度を決して見逃しません。
町田市や相模原市は、国から認定を受けた「特定創業支援等事業」に非常に力を入れています。市が開催する創業セミナーの受講や商工会議所での個別相談を経て、自治体から「証明書」を取得してから法人を設立することで、以下のようなダイレクトな財務メリットを勝ち取っています。
◎ 登録免許税の半額減税
株式会社設立時の税金が15万円から7.5万円に直接減税されます(合同会社なら6万円が3万円に)。
◎ 有利な創業融資
日本政策金融公庫の融資や、自治体が利子・保証料の一部を補給してくれる地元の信用金庫(多摩信金、さがみ信金など)の「制度融資」において、金利優遇や据置期間の延長をスムーズに引き出すことができます。
一度個人として開業していても、組織変更としての法人設立の段階でこれらの恩恵を受けられるケースが多いため、登記前に地元の窓口へ確認し、初期コストを賢く削れる人が「得する人」の共通点です。
まとめ:法人化で得する人・損する人の最重要ポイント
法人化において得する人と損する人の決定的な違いは、「個人所得が800万円の損益分岐点を超え、累進課税から法人税率のメリットへシフトできているか(得する人)」「売上(年商)の額面だけで判断し、赤字でも毎年かかる地方税の均等割約7万円や税理士顧問料などの維持費に潰されてしまうか(損する人)」「2026年現在のインボイス制度を踏まえ、BtoCビジネスにおいて最大2年間の消費税免税特権を戦略的に選択してキャッシュを温存できるか(得する人)」「役員報酬の約30%という重い負担となる社会保険料の強制加入コストをシミュレーションせず、手元の現金を減らしてしまうか(損する人)」、そして「登記手続きを行う前に、町田市・相模原市の『特定創業支援等事業』をフル活用して設立時の登録免許税を半額に減税させ、有利な創業融資を引き出せるか(得する人)」の5点に集約されます。
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